筆者はフリーメインのクライマーなので、岩場での使用感についてレビューする。
目次
製品スペック
- 450ルーメン
- USBで充電可能なバッテリー「コア」が付属。単4電池3本でも使える
- ボタンは一つ
- ロック機能あり(4秒長押し)
- 白色の照射モードは三段階、赤色は通常点灯と点滅
とのこと。公式サイトはこちら
気に入っているところ
①明るい
450ルーメンなので、450ルーメンなりの明るさなのだろうが、かなり明るく感じる。
以前使っていたBDのSTORMは400ルーメンだったので、そこまで光量は変わらないはずだが、それと比べても明るく感じる。また、岩場で一緒になる他のクライマーのヘッドランプと比べてもやはり明るい。
普通の登山であれば、450ルーメンという明るさが必要なシチュエーションというのはほとんどない。しかし、クライミングにおいてはヘッドランプは明るければ明るいほどいいと思っている。これにはいくつか理由がある。
- 岩場へのアプローチ道は登山道ほど明瞭ではなく、足元が照らせるだけでは不十分なことが多い。
- 森の中のボルダーなどはまさにこれである。かなりの人数が入っているはずの小川山のボルダーでも、踏み跡は入れ乱れており、あまり明瞭ではない。初見の人は明るくても迷うかもしれない。
- 岩場へのアプローチは急峻であることが少なくない。より多くの範囲を照らせたほうが安全。
- ナイトボルダリングに良い。
- 大きいボルダーだと、光量が足りないと上の方が見えなかったりする。他の人が登るのを照らしてあげるときも「明るすぎるよ!」というシチュエーションはあまりない気がする。明るければ明るいほどいい。
- マルチピッチのナイトクライミングに良い。
- 継続トレなどでなくとも、「登るのに手間取っていたら真っ暗になっちゃった!」ということは当たり前に起こる。撤退が気軽にできないマルチではなおさらだ。その時に、光量が足りずにラインを間違えてしまったら?地面までロープが届いているかわからないのに懸垂下降しなければならなかったら?ただでさえ真っ暗で追い詰められているのに、事態はさらに悪い方向に傾きかねない。
②光量が安定している
これはペツル公式に載っている、アクティック(アクティックコアとは別)の、充電式バッテリー「コア」を使用したときと、乾電池を使用したときの光量と時間のグラフである。
「照射可能時間」を比較すると、コアは2.5時間、乾電池は60時間。
おいおい、乾電池の方が優秀じゃねーか!と思うかもしれないが、もちろんそういうことではない。
乾電池は、全体的に緩やかに明るさが減っている。光量20%近辺からはかなり漸近的に光量が減少している。「60時間光ります」と言っても、50%以上の光量で光る時間はごくわずか、57時間は20%の光しか出せないのだ。
このグラフはペツルの他製品であるが、他社のヘッドランプはその傾向をより強く感じる。
一方、コアを使用した場合は、70%付近で安定し、一気に0になる。電子的な制御が可能なバッテリーならではの出力なのだろう。
これを良いと捉えるか悪いと捉えるかは状況や用途によるが、筆者は圧倒的に後者の方が好みだ。
ヘッドランプの光の劣化には自分では気付きにくい。数ヶ月使用してから乾電池を交換してみたら、「こんなに明るかったの?!」となるのは乾電池式のヘッドランプでは毎回だ。「光量が減ってからも細く長く光り続ける」というのは、光量の劣化に気付きにくくなり、結果的に安全度で見ると逆効果であると思う。
先述した「他の人のヘッドランプより明るく感じる」というのはこの要因が大きいだろう。他の人のヘッドランプが暗いのだ。
一方、アクティックコアは、明るい間はずっと明るい。バッテリーの残量が減ってきたら、点滅でそれを知らせ、自動でリザーブモード(省電力モード)に入る。こうなったら充電どきだ。
③操作が直感的
以前使っていたBDのSTORMには、ボタンが1つ、タッチ入力が1つあり、切り替えのための操作の組み合わせが無数にあった。
最初こそ取扱説明書を一生懸命読み込んで操作を覚えたが、結局すぐ忘れた。「あれ、赤くなっちゃったけどここからどうやって戻すんだっけ」などというのは日常茶飯事だった。
一方、アクティックコアの操作は非常にシンプル。ボタンを1回押せば光り、さらにボタンを押せば照射モードが強くなる。ロックは4秒長押し。
基本的には白色光しか使わないので、このシンプルさは非常にありがたい。取扱説明書がなくても十分理解可能だ。
④充電可能
乾電池式のヘッドランプは電池交換のたびにお金も手間もかかる。
これを読んでいる人の中には、「充電する方がめんどくさいだろう、乾電池なら交換するだけだ」と思われるかも方もいるかもしれない。自分もこれを使い始める前はそう思っていた。
しかし、いざ使い始めるとそれが間違っていることに気づいた。先述したが、アクティックコアは電池残量が少なくなると強制的にリザーブモードに入る。こうなると充電するしかないので、手間とかそういう話ではないのだ。
そして、充電は別に手間でもない。車のシガーソケットに、いつでも付属のUSB-Aケーブルを挿しておけばいい。
乾電池は確かに交換するだけなのだが、先述した「光量が徐々に弱くなる」という理由から、電池交換すべきタイミングを大幅にオーバーしがちだ。
⑤軽い
他社の、登山またはクライミング用をうたう300〜600ルーメンクラスのヘッドランプと比較する。全てバッテリー(乾電池)含む重さ。
商品名 | 重さ | 最大明るさ | 充電可否 |
PETZL アクティックコア | 75g | 450ルーメン | ○ |
BD ストーム | 120g | 400ルーメン | × |
BD オンサイト | 135g | 375ルーメン | ○ |
LED LENSER MH5 | 92g | 400ルーメン | ○ |
LED LENSER MH8 | 139g | 600ルーメン | ○ |
圧倒的にアクティックコアが軽い。100gを切るのはアクティックコアの他にLED LENSER MH5のみ。クライミング専用をうたうBD オンサイトは2倍近い。アクティックコアとオンサイトとでは、キャメロットUL#0.5かキャメロットC4#2を頭につけて登るほどの差があるのだ!たぶん。
クライミング中にヘッドランプをつけるならば、1gでも軽量化したいのは当然だ。
そして、数値以上に実際に頭につけたときの方がわかりやすい。「ヘッドランプをつけながらクライミングする」というのは思った以上に頭に違和感があるものだ。あまりに重いヘッドランプを使っていると、「せっかく良いコンディションを狙ってナイトしているのに、ヘッドランプがハンデになって意味なかった」という状況になりかねない。
気に入らないところ
ない。本当に。
総評
クライマーにとってアクティックコアは間違いなく最強のヘッドランプである。
「迷ったらペツル」というのはいつの時代も変わらないのかもしれない。
ここでアフィリエイトのリンクでも貼るべきなのだろうが、面倒なので貼らない。